「ドトールコーヒーショップ」を世に送り出すにあたって、鳥羽はまずコーヒーの価格を150円(當時)と決めました。原価や必要経費などから導きだすのではなく、毎日お客様の負擔にならないコーヒー1杯分の価格はいくらだろう、という考え方から設定されました。この「お客様の立場に立った発想」は、鳥羽の、そしてドトールの基本スピリッツとして徹底的にしみわたっています。コーヒーの味はもとより、パン、ソーセージといった食材のすべてから店內に飾る絵畫、花、季節ごとに微妙に明るさが調節される照明や清掃の徹底など、“お客様に喜ばれてこそ”という頑固なまでのこだわりに貫かれています。
例えばコーヒーカップ。今では珍しくありませんが、當時では畫期的だった陶器のカップを採用しました。紙コップではいかにもチープな印象を與えるとの判斷からで、フルサービスの喫茶店のカップが300円前後の時代に、1個2000円もするボーンチャイナを使用するという徹底ぶりでした。